夫婦の問題を長年扱ってきた臨床心理士が語る、セックスレス・会話レスの克服の考え方、対策、夫婦のカウンセリング。質問やコメントを歓迎します。
典型例1:第3者を介したコミュニケーション
この第3者には子どもがなることがほとんどです。わかりやすいのは、夫婦がお互いに子どもに話しかけることで意思疎通する状態です。
夫:(子どもに向かって)今日はどこで遊んだんだ?
妻:(子どもに向かって)○○公園に行ったのよね。
夫:(子どもに向かって)楽しかった?
妻:(子どもに向かって)楽しかったわよね。
・・・
もう少し手が込むと
妻:(子どもに向かって夫に聞こえるように)たまにはどっかにつれてって欲しいよね。
夫:(子どもに向かって妻に聞こえるように)どこに行きたいんだよ?
妻:(子どもに向かって)○○ちゃん、ディズニーランドすきよね。
夫:(子どもに向かって)わかったよ、今度の日曜日にいこうよ。
・・・
こうなると、意見の調整も子どもをダシにして行っています。
さらに手が込むと
妻:(子どもに向かって)夏休みどっかにつれてって欲しいよね。パパにお願いしてみたら?
子:(父親の元にいって)パパ、夏休みどっかつれてて。
夫:(子どもに向かって)どこに行きたいの?
子:(母親の元に行って)パパがどこに行きたい?って聞いてたよ。
妻:(子どもに向かって)そーねー、グアムなら泳げるわよ。飛行機のっていくの楽しいでしょう?
子:(父親の元にいって)パパ、ママはグアムがいいって。
夫:(子どもに向かって)泳ぐなら、上海に行ってもプールで泳げるからいいんじゃないかなぁ?
子:(母親の元に行って)パパが上海でもいいんじゃない、って言ってたよ。
妻:(子どもに向かって)えーでも・・・・
こうなるともう、子どもはメッセンジャーです。家族の中の発話量は多いので、一見、コミュニケーションが順調に行われているように見えますが、夫婦は直接話せず、子どもがメッセンジャーの役回りしかできないという構造的な問題があります。
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